おやすみモードでも睡眠は阻害される
夜の体温下降期にブルーライトを浴びると概日リズムが延長し、レム睡眠や深い眠りが減少すると言われている。
そこで、寝る直前までおやすみモードのスマホを使用した場合の眠りの変化を評価してみました。
まとめ
・スマホを使いながら過ごすため、ストレッチや家事に時間を要し、寝る時間が遅くなった
・スマホに集中することで眠気を感じにくくなった。
・覚醒時間が長くなることにより、深睡眠が増加したが、レム睡眠が短縮し、総睡眠時間は短縮した。
・夜間の平均心拍数は普段と変わりなかった。
・朝が起きにくくなり、日中の眠気が強く生じた。
考察
・行動効率が下がり、いつものルーティンをしても時間を要し、寝る時間が遅くなる。
・おやすみモードでは心拍数に大きな変化はなく、概日リズムへの影響は出ない可能性がある。
・覚醒時間が長いと深睡眠が増えると言われており、就寝時間が遅い日は深睡眠の割合が多くなった可能性がある。
・レム睡眠の短縮により日中の眠気が助長された可能性がある。
・睡眠負債により日中の眠気が助長された可能性がある。
ここからは、具体的に説明していきます。
ブルーライトの影響
・夜間の光曝露はメラトニン分泌抑制以外にも、深部体温や心拍数の上昇、眠気の低下を引き起こす。(Cajochen, 2005)
・主観的な覚醒水準が上昇する。(Revel, 2006; Cajochen, 2005)
と言われており、PCやタブレット、スマホの画面光にもブルーライトが使用されている。
ブルーライトを控えるため、おやすみモードなど、ブルーライトをカットする機能が増えている。それらを用いることで、睡眠の質が保たれるのかを評価してみました。
条件:
①おやすみモードで光量はiPhoneの中央レベル
②普段通り23:00〜23:30までに就寝予定で行動
③寝るギリギリまで用事に合わせてスマホ使用
④お昼ご飯は味噌汁+肉or魚にしてサラダ、蒸かし芋以外での糖質を摂らない(普段から)
次に1週間の日中変化と夜の動き、就寝時間
3/13(日)
9:30〜45分ストレッチ 23:22就寝
14(月)
18:28〜35分筋トレ 23:57就寝
15(火)
21:45〜1時間5分ストレッチ 0:01就寝
16(水)
23:00〜40分ストレッチ 23:59就寝
17(木)
21:20〜50分ストレッチ 23:41就寝
18(金)
勤務中15:00〜16:00に眠気が来てウトウト
23:00〜40分ストレッチ 0:15就寝
19(土)
14時頃に強い眠気がきて仮眠
1週間の睡眠内容は下記になります。
総睡眠時間5:56(6:26)
レム睡眠1:22(1:32)
深い睡眠2:34(2:03)
覚醒時間34分(39分)
・総睡眠時間は短縮した。
・レム睡眠時間は短縮した。
・深睡眠時間は延長した。
・覚醒時間には大きな差はなかった。
・睡眠の質は低下した
考察
総睡眠時間の短縮
睡眠時間のうち覚醒時間は平均と変わらないため、就寝までの時間が延長したことが考えられる。
実際に、スマホを使用することで通常ルーティンに時間を要したり、気になったことを調べてしまうため、就寝が遅くなることがあった。
また、布団に入ってからもスマホを見ることで、眠気が冴えてしまう場面があった。これは、スマホの明るさによるメラトニンの現象が考えられる。【メラトニンは明暗に依存して分泌されるため、夜に明るい環境に晒されると、その分泌が抑制され寝つきを差が悪くなる】とされており、寝る直前までスマホを見ることでメラトニンの分泌量が低下し、覚醒してしまったと考えられる。
レム睡眠の短縮
・逆説睡眠(レム睡眠)の発現には必ず先行する徐波睡眠が必要。(山本璃沙,2021)
そのため、睡眠の質の低下によりレム睡眠が短縮したことが考えられる。
深睡眠時間の延長
深睡眠は長く覚醒していて睡眠不足になると睡眠は深く長くなる(Borbely A, Achermannら,2010)と言われている。そのため、就寝までの時間が延長した実験期間においての深睡眠が延長されたことに関しては覚醒時間の延長によるものと考えられる。
睡眠の質の低下
レム睡眠はノンレム睡眠の質に影響し、ノンレム睡眠はレム睡眠の質に影響するということが言われている。
これらのことを踏まえ、ブルーライトカットのためにおやすみモードを使用しても、暗い部屋でスマホを見たり、スマホに集中するあまり、睡眠時間が低下すると睡眠の質は低下すると考えられる。
※あくまでシングルケースのため、正確性には欠ける可能性があるため、参考程度にお考えていただければ幸いです。